「 転写因子Mkxの歯根膜における機能解明 」-歯根膜恒常性維持の新たなメカニズム-をDevelopmentに発表

私たちは、発生・成熟後の歯根膜の恒常 性維持に必要な遺伝子を発見しました。

歯根膜は歯と骨を繋ぐ結合組織で、咬合力・歯科矯正力といった様々な力学的負荷を受けとめるだけでなく 周囲歯周組織 (歯槽骨・セメント質など) への栄養供給の役割も担っています。歯根膜の持つこれらの多くの 機能から歯根膜が歯周組織における恒常性の維持に必要不可欠であることは広く知られているにも関わらず、 その発生や再生メカニズムは不明な点が多く、さらなる基礎研究による知見の集積が求められています。また、 慢性歯周炎等で失われた歯周組織の再生は困難な場合が多く、歯根膜を含む歯周組織の効 果的な再生法開発は歯科臨床における大きな課題となっています。

本研究では、 まず、転写因子 Mohawk homeobox (Mkx) がマウスの歯根膜でも強く発現している ことを明らかにしました。

さらに、Mkx ノックアウトマウスを用いた解析では、高齢 (12 ヶ月齢)になるに従って歯槽骨 (歯を支えている骨) の破壊を伴う上顎第一臼歯の歯根膜腔 (歯根膜の存在する空間) の拡大が認められ、多核巨細胞も多く 認められました。

電子顕微鏡による形態学的解析では、高齢のノックアウトマウスの歯根膜に存在するコラーゲン線維は 細く、断面形態も不整であり、変性を示していることが明らかとなりました。光学顕微鏡で解析では、ノックアウトマウス歯根膜腔に存在する細胞の形態は一様に大きく変化し、均 一な紡錘形を示していました。

以上より、転写因子Mkxは歯根膜の細胞集団の骨形成細胞への分化や、歯根膜コラーゲン線維の加齢変性を抑制し、歯根膜の恒常性の維持に重要な役割を担うことが明らかとなりました。

Mkx が歯根膜で発現すること、Mkx が成熟後の歯根膜の恒常性維持に重要な因子であることの報告は世界で初めてです。この転写因子 Mkx の発現を人為的に制御することで、効果的 な歯根膜の再生療法や人工的歯根膜の開発につながる可能性があります。それは慢性歯周炎の新規治療法 や、精密な歯の移動を必要とする矯正歯科治療における歯の移動量の調節等にも応用できる可能性を持つこ とから、広く歯科臨床への貢献が期待されます

この研究成果は、国際科学誌 Development に、2016 年 12月 19日付でオンライン版が発表されました。

The transcription factor mohawk homeobox regulates homeostasis of the periodontal ligament.

Koda N, Sato T, Shinohara M, Ichinose S, Ito Y, Nakamichi R, Kayama T, Kataoka K, Suzuki H, Moriyama K, Asahara H.

Development. 2017 Jan 15;144(2):313-320.

http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20170130.pdf

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東京医科歯科大学 医歯学総合研究科 システム発生・再生医学分野

​教授 浅原弘嗣

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